1・良い調律・良い調律師編
調律は、どこに頼んだらいいの?



 皆さんは、ピアノの調律を依頼するとき、どのように調律師を選んでいますか?
 ここでは、調律を依頼するときの選び方と、それぞれの依頼方法の良い所・気になる所を述べてみます。
 なお、ここに述べる良い所・気になる所は、一般のお客様より多く聞かれたご意見を元にしてみましたが、各楽器店・各調律師とも技術・サービス内容の他、性格も様々で、実際には必ずしも記述内容が当てはまる訳ではありません。

 1・ピアノを購入した楽器店で毎年やってもらっている。 

 ピアノを購入すると初回1回は無料の調律がついてくることが多いですね。その後は、買ったお店から1年に1回の調律時期が来ると楽器店から調律の案内の電話があるので、そのままお願いするということが多いでしょう。
ご自身で調律師を探さなかったりたり、お知り合いの調律師がいない場合、ほとんどの方がこれに当てはまると思います。
<良い所>
●購入してから定期的に調律の時期に連絡してもらえるので、自分で調律を依頼する必要がない。
●万一の故障の場合、無料修理、安価修理になることがある。保証期間内ならば、部品代等は無料になる。
●購入する際に、店の所在地・店内の雰囲気・店員の顔ぶれを見ているので安心感がある。
<気になる所>
●そのお店に複数の調律師が所属している場合は、担当する調律師が、楽器店側の都合で勝手に変わってしまうということがある。
●調律の経験年数が浅い調律師が来ることがある。
●料金が、個人の調律事務所より高いことがある。

<対処法>

●担当した調律師が気に入った場合には、名刺をもらっておき、お店にもその調律師に次回も担当させるように電話をしておきましょう。さらに、次回調律の連絡があった場合も、必ず指名をしましょう。ただし、楽器店の場合はその調律師が退職してしまっていることもあります。その場合は、前の担当の調律師がいかに良かったかを店側に説明して次に担当する調律師に伝えてもらえば、次に担当する調律師も、お客様に合った丁寧な作業がしやすくなります。
●新人の調律師であっても、きちんとした勉強をしてセンスもあれば理論に従った調律・調整やピアノが長持ちするメンテナンスができます。見込みのある新人さんなら、長い目でみていただければ調律師も年数とともに成長していきます。
●料金が安いところに頼むには、電話帳やホームページなどで料金を比較して、自分で探すのが確実です。料金が安いからといって技術が劣っているとは限りません。

 2・ピアノの先生に紹介された調律師に依頼している。

習っているピアノの先生にすすめられた調律師に頼んだというかたもいらっしゃると思います。ピアノの先生が過去にいろいろな調律師に出会っている場合、複数の調律師の仕事ぶりを見た中で比較的良い仕事をしてくれたと実感できた人を善意で薦めることがほとんどだと思います。また、音楽教室に通っている場合は、その楽器店からの案内や担当の先生からのすすめで調律を頼んでいるという方もいらっしゃると思います。
<良い所>
●先生のピアノの調律を担当している調律師を紹介された場合は、調律師側もピアノの先生から紹介されたお礼の意味も含めて、より一層丁寧に仕事をしてくれる可能性がある。
●ピアノの先生は、過去に何人かの調律師の仕事をみていることが多いので、その中で比較的良い調律師と思ったので紹介してくれる。よって質が良い調律師であることが多い。
<気になる所>
●先生の感性と調律師の感性の相性が良くても、場合によっては個性が強く技術内容が一般向きでないことがある。
●調律師の身元(技術習得の過程・経歴・内容)が依頼する前によくわからないことがある。
●先生の紹介ということで、料金について口出しできなかったり、万一自分が気に入らなかったとしても、一度頼んでしまうと、その後に他の調律師に変えにくい。
●ピアノの先生であっても、調律作業内容やピアノの構造についてあまり知識がないと、調律技術が本当に確かなものなのかわからないこともある。
●個性が強い先生の指示があった場合には、ピアノを長持ちさせる作業よりその場の音色や弾き心地を重視しすぎて、多少ピアノに負担のかかる調整をされることがある。

<対処法>
調律師を紹介された場合、その先生の音楽やピアノに対する感性や考え方に共感できるのであれば、1度頼んでみても良いでしょう。万一来てくれた調律師が気に入らなかった場合は、気に入らなかった点について直接調律師に相談してみてください。きっと、改善の努力をしてくれるでしょう。逆に、意見を全くきき入れてくれなかった場合には、次回から断れる理由にもなります。ピアノの先生の紹介となるといやでも断れないことが多いと思います。ですが、調律師と直接話を深めていけば、自分の好みに合った作業をしてもらうこともできます。

 3・直接楽器店に出掛けたり、電話帳などで調律事務所を探して依頼している。

遠方へ引っ越しして今まで頼んでいたところに頼めなくなった場合、過去に来た調律師があまりにも気に入らなかった場合や調律師自身が退職・引退してしまった場合、自分で調律師を決めなければならないこともあるでしょう。しかし、知らない人に初めて頼むというのは、少なからずとも不安であり、看板を見ただけではどこに頼んだら良いのか、どんな人が来るのかもわからず、良い調律師を選ぶのは大変だと思います。しかし、自分で探すことで自分に合った調律師を見つけるチャンスは広がります。
<良い所>
●電話帳やホームページを見たり、直接お店に出向く等して自分で探すことにより、各店の料金、技術・サービス内容についてその違いを知ることができるので、自分の好みに合った調律師に出会える可能性がある。
●調律修理の専門業者や個人の調律事務所の場合、メーカー系列の楽器店よりも、多種メーカーのピアノ調律や修理の経験が豊富な技術者に出会える可能性が高い。
●調律師は基本的に楽器店やピアノ工場で何年か経験を積んでから独立するので、個人事務所の場合は、新人の調律師が来る可能性が低い。
<気になる所>
●経歴もわからず実際に腕が良いのか悪いのかがわからない。
●調律件数が少ない調律師だと、年齢がいっていても技術が多少劣っていることもある。
●アフターサービスや、故障の際の修理の対応や修理費用が様々なので不安。

<対処法>
故障の際の修理や長期間あいての調律の場合は、作業前に必ず見積りをしてもらいましょう。個人の調律事務所に頼む場合は、ホームページに書いてある内容をよく読むことで、技術対応の親切さもわかると思います。電話帳で探す場合には、調律師は国家資格のない仕事ですので、思い切って担当調律師に経験年数を聞いてみると良いでしょう。


 ピアノの調律は、結果が目でみてわからないので、調律をしてもらっても「良くしてもらったのか悪くされたんだかわからない」と言う声を良く聞きます。実際に作業しているところを見ていても、丁寧にやっているのか雑にやっているのかわかりにくいかもしれません。
 しかし、調律してもらった直後にたまたま鍵盤が動かなくなった、音が1つでなくなった、雑音がするなどのトラブルがあっても、調律師が調律のときに何か壊したというわけではありません。むしろ、調律したからこそ、あらが出てきたり気にならなかった細かなことが気になる場合もありますし、普段閉じてあるふたをはずして作業するので、そのときに湿気が入ってしまうこともあります。
 ピアノはとてもデリケートな楽器です。しかし、何年も弾きこんでそのピアノを何年も同じ調律師にみてもらうことで、調律師もそのピアノの状態やくせ、さらにはお部屋の環境によるピアノへの影響もどんどん細かく正確に判断できるようになるのです。良い調律師を見つけたらその調律師を離さないようにすることが、ピアノを長持ちさせることにもつながります。
 万一、調律師に対して不満や不安を感じるようでしたら、積極的にお願いをしたりピアノの状態について質問してみましょう。どんな状態なのか、どういった作業が必要なのかを教えてくれるはずです。調律師と話を深めることで、その調律師のピアノへの愛情度もわかってくると思います。