2・ピアノの維持管理編
ピアノの音の防音対策。グランドピアノ編



 グランドピアノ(以降GP)は、アップライトピアノ(以降UP)に比べて音が広範囲に大きく響きやすいので、住宅街では防音対策が気になることと思います。しかし、GPの特徴は、UPと内部部品の構造上の違いによるタッチの違いのみならず、音の表現力の豊かさが何よりの特徴です。ですから、せっかくのGPを防音してしまうと、GPの性能が台無しです。できることなら防音はしないで演奏していただきたいのですが・・・。しかし、現実問題、多少の防音が必要であれば、次のような方法があります。

 最も確実な方法は、お部屋自体を防音室にすることです。楽器メーカー等が発売している組み立てパネル式の防音室のほか、建築・建材メーカー等の防音リフォーム工事を行う方法もあります。ピアノの音自体は普通に室内に響いた状態で、外への音漏れを防ぐ方法です。良いものになれば防音効果も高く、演奏者にとっても自然に音を響かせることができるので下記の方法に比べると、演奏しやすい方法です。最近では、組立て式防音ルームユニットでの室内での音の響きもずいぶん改良されてきたようです。
 しかし、問題点もあります。まずは、その費用です。安くても100万円程度はしますし、防音レベルは壁や窓やドアの室により良い物になるほど当然価格も高くなります。お部屋自体をリフォームする場合は、もちろん賃貸住宅では難しいでしょう。また、組立て式の防音ルームは重量もかなり重くなりますので、防音効果の高いタイプやグランドピアノ用のように室内スペースが大きいのもになると、マンションに設置する場合でも事前の見積もりが必要です。
 そして注意点ですが、防音ルームを設置したからといって、外で聴いたときの音が無音になるわけではありません。通常の室外への音もれをある程度小さくしてくれるものです。

 防音ルームにできない場合には、色々と工夫をするしかありません。防音の必要なレベルに合わせて、担当の調律師にアドバイスをもらいながら可能な限り工夫してみてください。

 まず、お部屋の窓は夏冬に関わらず確実に閉めてください。窓が開いていては、室内の音を防音したつもりでも、音は相当遠くへ響いてしまいます。 窓を開けっ放しにしてガンガン弾いていれば、ご近所への心配りも感じられませんから、必要以上に苦情が来る原因にもなります。

 さらに次のような細かな工夫もできるでしょう。
 (A)GPの上のふた(大屋根)を閉めた状態で演奏する。
 (B)GPの大屋根の上に毛布を覆いかぶせる。場合によっては、2枚程度重ねてかぶせる。
 (C)GPの下に、布団や毛布を重ねて置く。
 (D)部屋の床に厚手のじゅうたんを敷く。
 (E)カーテンを厚手のものにする。窓のない壁側にも、厚手のカーテンレールを取り付けカーテンをする。
 (F)ピアノの脚に防音ゴム製のインシュレーター(キャスター受け皿)をする。
 (G)GP用の防音マットをピアノの裏側にはる。(取り付けは調律師にお任せください。)なお、GP用の防音マットは、防音効果はかなりありますが、音がこもってきこえます。また、取り付け後はほとんどの場合、簡単には取り外しができませんので、常に防音が必要でない場合は、取り付けはお勧めできません。 UPでも、弱音装置を使って演奏するとタッチが重く感じると思います。GPも弱音装置や防音マットを使用すると、思った通りの音が出ないためにタッチには違和感があります。

 なお、最近良く耳にする「消音装置」は、生音での演奏ができるピアノに電子ピアノと同様の機能も追加して、レバー操作で切り替えることでヘッドフォーンやオーディオスピーカーから音を出して演奏することもできるようになるものですが、GP用のものも販売されています。UP用は後から付けられる機種も多いのですが、GP用は後から付けられるものがないわけでもないのですが、あまり出回っておりません。今のところほとんどのお客様は、初めから消音装置機能がついたGPを購入することになります。