3・ピアノの状態編
雑音がする。


 ピアノを弾いていて雑音が気になったことがあるかもしれません。一度気になると、ますます気になるのが雑音ですね。
 雑音にはその症状と原因がいくつも考えられます。大きく分けて以下の通りです。

(雑音の症状)
1・ピアノの広い音域の音に対してジンジン、ビンビンした音が出る。
2・特定の範囲の音域での音を出したときにゴー、ジンとした音が出る。
3・特定の音や特定の和音を弾いたときにジーン、ビーンとした音が出る。


 その原因には大きく分けて以下のことが考えられます。

(雑音の原因)
●部屋の木の壁・壁の額縁・窓ガラス・戸・戸棚のガラス戸・蛍光灯の蛍光管等のものが、ピアノの音に共振している。
●ピアノの上や周りのものが、共振している。
 (メトロノーム・ガラスや金属製やプラスチック製のケース・時計・写真たて・ピアノの後ろに落ちているもの等)
●ピアノの外装パネルや内部部品の共振・ピアノの部品のネジのゆるみ。


 ピアノの音は、一般の家庭で出る音の中でも特に大きな音で、しかも音域も広いために、部屋の中の様々なものに共振・共鳴する事があります。上空をヘリコプターが通ったり、近くを大型トラックが通過したときに、戸や窓がビリビリ振動するのと同じようなことが、ピアノを演奏しているときにも起こりやすいものです。(響きの良いピアノほど雑音が出ると考えても良いです(笑))
 部屋の何かが共振して雑音が出ている場合は、気にしないか、気になるのであれば共振しているものに布を当てたり押さえたりして雑音を止めるしかありません。
 特に、ピアノの上やピアノの後ろはピアノの音が大きく響いている場所なので、ちょっとしたもの(例えばクリップや10円玉など)でも、気になる大きさの雑音が出ることがあります。ピアノの後ろには物を落とさないように気をつけましょう。
 ピアノの外装パネルや内部の部品の雑音は、調律師が解決しなければなりませんが、たまたま調律師が伺ったときに雑音が出ないといったこともあるかもしれません。普段弾いていて、どのような音を弾くときにどの辺りからどのような雑音が聞こえるのかをわかる範囲で調律師に伝えてください。その雑音の特徴からおおよその原因を予想して雑音の原因を探る事ができます。
 雑音の原因箇所は数多くあるために、必ずしもその場で解決できるとは限りません。調律が終わったあとに雑音が目立って聞こえたり、雑音が出るようになったと感じる事もあるかもしれません。これは、ピアノを調律する前とあとでピアノのまわりの物の配置が微妙に変わってまわりのものが共振するようになってしまったか、または調律した事によって音がきれいにまとまったために、音量は変わらなくても音の振動自体がしっかりとしたため共振しやすいという事も考えられます。
 なお、ピアノの内部のネジのゆるみが原因の雑音の場合は、調律をしているときに気がつく事が多く、これはお客様からの指摘が無い小さな雑音が出ている場合でも、調律師側でネジ締め作業をしています。

 Eメールで最もお問い合わせの多かった質問が、この雑音についてでした。しかし、雑音を消す作業というのは、原因が多いがゆえに、調律師にとってもその原因を探るのが1つの技術でもあります。その場で雑音を聞いて、その特徴から何が原因かを特定するのは企業秘密でもあるので、HPで答えられない部分も多くあります。しかし、あまりにも質問が多いのでHP答えられる範囲で述べてみました。実際には担当の調律師と一緒に雑音の原因を探ってみてください。

 最後に、ピアノは木や金属の部品が多く使われていて、しかも激しく動く部品が多いため、鍵盤を弾く、ペダルを踏むなどの操作でピアノの音以外の音が出てしまいます。これがピアノの機種や木の状態、設置場所などにより、演奏者にとって気になる雑音であることもあります。多少工夫してこれらの音を小さくしたり消す事もできますが、必ずしも鍵盤やペダルの操作音を無音にする事はできません。特に静かに滑らかに弾きたいときには、気になることもあるでしょうが、ピアノの限界もあります。各メーカーも色々な雑音対策を工夫していますが、どうしても消えない雑音(部品の動作音)があるという事も、ご理解いただければ幸いです。