どうせ動かすなら、より良い設置場所へ!
ピアノを移動するなら、設置する場所もできれば以前より良い条件の場所に設置したいものです。できる範囲で以下の理想とする環境に設置できれば幸いです。
1・エアコンなど、冷暖房器具を設置する場所から離れた場所を選ぶ。
無理な場合は、エアコンの風をよけて使える場所を選んで設置する。
2・キッチンのそばや、お風呂場のそば、窓のそばは、湿気がたまる危険があるので避ける。
どうしても窓のそばに設置する場合は、できるだけ窓とピアノとの間を開けて設置する。
3・完全北向きのお部屋やガラス面積の多い南向きのお部屋も避ける。
年間を通して湿気がたまりやすいお部屋や、日当たりが良すぎて日中と夜の温度差・湿度差が激しく変化するお部屋は避けましょう。
4・今設置してある環境とできるだけ近い環境に設置する。
ピアノは環境が変わると湿度の変化パターンが変わることにより木の状態が変化しますので、湿気の多い場所に移動すれば今まで起こらなかった部品の作動不良や、音色のこもり、弦のサビや木のカビも発生する可能性が高くなります。反対に、今までよりも乾燥した場所に設置すれば、木がそったり割れたりする危険があり、これはかなり深刻な問題になることがあります。木造の一戸建てからマンションに引っ越す場合などは、よく故障や破損のトラブルがありますから、例えばこの場合は、普段できるだけエアコンを使わなくて済むような客間や子供部屋に設置する対策も良いです。畳のお部屋に設置する方法も、床が不安定ではありますが、湿度変化対策としては有効な場合もあります。しかし、近年のマンションでは、畳のお部屋と言っても本来の畳ではなく畳もどきのパネルであることが多いので、湿度変化を抑える畳の役割をあまり果たさないこともあります。
5・アップライトピアノの場合は、壁とピアノの裏側のすき間をあけて設置してもらう。
壁とピアノの裏側のすき間は、基本的にピッタリ設置しません。それは、冷蔵庫のように放熱ペースが必要なわけではもちろんなく、アップライトピアノの音源は裏側の響板にあり、後ろ向きに音が出ているからです。このすき間は、ピアノの特長やお部屋広さや壁などの材質によっても理想的な間隔が異なりますが、およそ5cmから10cmを目安に離して設置してもらうように依頼してください。間隔をあけることで、ピアノの音がより自然に響くようになりますし、ピアノの裏側の通気が良くなることで、カビやさびも防げます。
6・音の出る方向にできるだけ他の家がないようにする。
アップライトピアノなら裏側、グランドピアノなら右側は、ピアノの音がよく響きやすい場所です。できるだけこの方向にとなりのお宅がないように方向を工夫しましょう。理想なのは、この音が良く響く方向が自分の家の内壁に向かっていることです。外側の壁に向かっているよりも他のお宅へ音が響きづらく、結露も防げますから一石二鳥です。
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